2019年の全日本ロードレース選手権が栃木県・ツインリンクもてぎで開幕し、日本郵便 HondaDream TPとして2年目のシーズンがスタート。今シーズンも小山知良、國峰啄磨、亀井駿の3台体制で臨む。
昨年は、タイトル獲得まで後一歩というところだっただけに、今シーズンにかける意気込みは、かなりのものだった。その悔しさを晴らすためにもチームは、シーズンオフにマシンをしっかり整備し、開幕戦の前週に行われた公開テストに臨んだ。ここで小山も國峰も今シーズン初めての本格的な走行となったが、2人ともトップライダーらしく着実にマシンセットを詰めていく。一方、亀井は、バイクのことを、もっと理解することを目的に、自分自身で整備する範囲を増やす体制で臨むことになったが、今のところ、うまく軌道に乗ってない。
開幕戦ツインリンクもてぎのレースウイークは木曜日の特別スポーツ走行から始まった。事前テストの調子もまずまず、昨年はチームで1-2フィニッシュを飾っているだけに、いざスタートという場面だったが小山のマシンにトラブルが発生してしまい1本目のセッションを走ることができずに終わってしまう。メカニックは懸命に修復するが、2本目でも違う問題が起きてしまい、初日は計測4周しかできず、ほとんど走れず終いとなってしまう。金曜日もマイナートラブルがあり思うように走れないまま2日間が過ぎて行ってしまっていた。一方、國峰は、順調にマシンセットを進め金曜日は両セッションで7番手につけていた。
今シーズン、ST600クラスのタイヤは新しくなり、その進化は好評。全体的にタイムアップしてきており、予選では、コースレコードが塗り替えられることは確実視されていた。もちろん小山も國峰もレコードタイムを超えるタイムを出せると思っていた。
土曜日のお昼に行われた予選セッション。金曜日の夜遅くまでメカニックが整備したマシンを信じ、小山はコースに出て行く。國峰がセッション序盤に1分54秒792まで縮めると、小山は、セッション終盤のアタックで1分54秒352をマーク。レコードタイムを上回り4番手となる。國峰は、セッション終盤のアタックが不発に終わりタイムを更新できなかったが、それでも6番手。2人ともセカンドロウからスタートすることになった。
18周で争われたST600クラスの決勝。小山は、好スタートを切り3番手で1コーナーに入って行く。國峰も5番手とポジションを上げる。オープニングラップの5コーナーでは、小山が南本選手にかわされ4番手にポジションダウン。オープニングラップは、小山が4番手、國峰が5番手でホームストレートに戻ってくる。その後、トップ2台が逃げ、南本選手と小山が3位争いを展開。小山について行きたい國峰だったが、徐々に遅れを取ってしまい、菅原選手、奥田選手と5位争いを繰り広げて行く。
小山は、南本選手の背後につけチャンスを伺うが、仕掛けるには現状ではリスクがあった。それでもファイナルラップの90度コーナーのブレーキングで勝負に出る。しかし西日でフラッグがうまく見えずイエローフラッグだと違反になってしまうと思った小山は、ブレーキングを行い引いたところ軽く接触。コースアウトしてしまうが転倒はなく、すぐにコースに復帰。4位でチェッカーフラッグを受けた。國峰もレース終盤のバトルに打ち勝ち5位でゴール。Honda勢では、トップ2の成績を残した。
日本郵便と組んでの応援ツアーには、130名もの方が参加。グランドスタンド上の日本郵便ブースには、多くのお客さんが訪れ大盛況。今後もレース活動だけではなく、全日本ロードレース全体が盛り上がる活動にも力を入れて行く。
小山知良コメント
「チャンピオンのかかった重要なレースでしたがドライでは全セッショントップタイムで14年振りのポールポジション。ウエットコンディションとなったレースでも落ち着いて様子を見ながら周回を重ねていたのですが…。あらためてレースは難しいということを思い知らされました。来シーズンは、もっと強い走りができるように精進します。日本郵便さんを始め、応援していただいた全ての皆さんのおかげで無事に全日本ロードレース選手権を戦い終えることができたことを感謝いたします。本当にありがとうございました」
國峰啄磨コメント
「予選までは、なかなかうまくライディングできず苦労していましたが、決勝日が雨になり、ウエットコンディションでは、いいフィーリングを感じていたので、小山選手がタイトルを獲れるような動きができればいいなと思っていました。序盤は、小山選手のペースが上がらないのかと思い、トップに出てレースをかき回そうと思っていたのですが…。今シーズンは、小山選手と一緒のチームで走ることができたことで、まだまだメンタル面や技術面で足りないことがあることが分かりましたし貴重な経験になりました。日本郵便さんを始めスポンサーの皆さん、応援してくださった皆さん、そしてチームに感謝いたします」
亀井駿コメント
「小山選手や岩田監督、手島代表のアドバイスのおかげで少しずつですが自分なりにステップを踏んでタイムアップすることができていたので、シングルフィニッシュを目標にレースに臨みました。14番手まで上がったところで他車と接触してしまいコースアウト。そこから追い上げましたがポイントも獲ることができず最終戦を終えることになってしまいました。まだまだ未熟な点が多いことを痛感したシーズンになりましたが、この経験を生かしていきたいと思っています」
手島雄介代表コメント
「日本郵便さん、Hondaの皆さんを始め、多くのご協力感謝いたします。チャンピオン獲得をかけて臨んだ最終戦でしたが、残念ながら勝利の女神は微笑んでくれませんでした。それでもライダーはもちろん、チームスタッフもチャンピオンを獲るためにチャレンジしましたし、全力を尽くした結果なので、これもレースということなんでしょう。また、チャンピオンが獲れるようにトライして行こうと思っています。2018年シーズンも応援ありがとうございました」
©2019 . ALL RIGHTS RESERVED